モテ・マニュアル/シルバーアクセサリー

高校時代
有り余る体力を、全てアメフトに費やした。

アメリカンフットボールの起源は
軍隊格闘技で、
そのルーツのとおりに、スポーツ化された現在においても
戦略性のある極めて格闘色の強いものである。
防具は最低限の急所のみを防御し
また
防具があることで、グランド上の兵士は
常に100％のチカラでもって
相手を駆逐する権利を得ている。
そのことにより
相手に対する良心という脳のリミッターは解除されているため
そう、防具が無い部位においても、
当然のごとく容赦はしない。

もともと血の気が多かったこともあり
このスポーツを始めたが
みごとに更正した。
外で無駄なチカラを使う余裕は無く
放課後の為に、
残りの時間はすべて
充電（睡眠）にまわす羽目になった。

だが、まわりが思っているよりも
女性にモテないスポーツだった。
血と汗と涙、そして友情。
３年間で得た結晶だ。
悲しきかな、混じりけの無い純結晶。
僕はもっと濁ってもよかったのに。
モテなかったのはアメフトのせいだけではないが、
自分のみのせいだと思えるほど
僕はまだ老成してはいない。
だが、あのころの仲間は今でも年に何回か集まる。

なぜ女性にモテなかったのか？
ふと気になり、考えてみた。
答えが出れば、逆に「モテ・マニュアル」が完成すると思ったのだ。
「モテ」は死が肉体を解き放つその瞬間まで
男にとって重要な命題なのだ！

高校生の自分を例にモテないだろう理由を
箇条書きにしてみた。

・明るい人間性ではない
・女性受けする話題を持ち合わせていない
・ 攻撃的な部活に従属（重要と思われる）
・ 制服を着ていなかった
・口下手
・社交性がなく、クラスでは寝てるか読書
・機嫌が悪いときは全てが敵に見える
・世間知らず

・・・だめじゃん、おれ。
書いてみてわかった。
何が一番ダメって、人生受身になってるし。
受身ついでに妻に聞いてみた。
僕のどこが好きなのか？
彼女は答える。

「全部」

・・・うーん。
モテ・マニュアル完成までは程遠いな。
だけど明日は
晩御飯作って、彼女の帰宅を待つとするか。